2009年2月

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マレーシアへの輸出は「日本マレーシア経済連携協定(JMEPA)」がいい?

今年の2月1日からマレーシアと日本との間には、日本マレーシア経済連携協定(以下、「JMEPA」といいます。)とASEAN包括的経済連携協定(以下、「AJCEP」といいます。)が並存しています。

このため、マレーシアの輸入者は最恵国待遇税率、JMEPA及びAJCEPのうち、どの税率を適用して輸入する方が有利か、マレーシアの関税率について比較検討したうえで決定しなければなりません。

日本の輸出者は輸入者の決定した協定に応じて、あらかじめ必要な原産地証明書を取得しなければなりません。

ジェトロの調査(1月30日付のメール&ウェブニュースサービス日刊「通商弘報」)によると、JMEPAとAJCEPで品目ごとの関税の税率を比較すると「JMEPAの発効時点でAJCEP税率のほうが低くなる品目はゼロ」とし、「鉄または非合金鋼のフラットロール製品、乗用車、自動車部品などでは同率」であると報告しています。

これらのことから、マレーシアへの輸出については現在のところ、(上記の同率である品目を除けば)JMEPAを利用するほうが関税の税率上は有利になります。

 

なお、マレーシアでのAJCEPの活用はAJCEP発効国(シンガポール、ラオス、ベトナム、ミャンマー、ブルネイ)間での累積規定を利用して特恵関税の適用を受けることが中心になるようです。

 

関税率表解説及び分類例規に一部改正がありました。(平成21年財関第177号)

関税率表解説及び分類例規に一部改正がありました。

平成21年3月1日から適用されます。

改正される品目は以下のようになります。

3月1日以降に通関する予定の貨物についてはご注意ください。

 

1.関税率表解説については以下の品目(HS番号)

①茶(09.02)

②チオフェンタニル(29類)

③食用品その他の栄養価を有する物質(38類総説)

④その他の化学工業品(38.24項)

⑤持上げ用、荷扱い用等の機械(84.24項)

⑥洗浄用、清浄用等の機械(84.51項)

⑦その他の機械類(84.79項)

⑧家庭用電気機器(85.09項)

 

2.分類例規(国際分類例規)については以下の品目(HS番号)

①かぼちゃの種(1212.99号)

②ノンアルコール飲料(2202.90号)

③修正テープ(3824.90号)

④電源タップ(8536.69号)

⑤使い捨てブランケット(9018.90号)

⑥溶かして型を取るチョコレートのセット(9503.00号)

⑦小売用化粧箱に詰められた機器本体(9504.10号)

 

なお、具体的な改正点及び国内分類例規の改正点については、下記の

税関のホームページをご確認ください。

http://www.customs.go.jp/kaisei/tsutatsu/H21tsutatsu/H21tsutatsu0177/index.htm

個人輸入について(衣料品等)

円高が続き、「個人輸入」が増加しているとのこと

今朝、テレビ番組でやっていました。

そこで、まず、「個人輸入」とは、どのような事をいうのか、書いておきます。

 

少し古い本ですが(社)日本通関業連合会が発行する「(改訂版)税関・貿易用語集」(平成17年4月改訂)には、

「個人輸入」とは、「外国の製品を自らの用に供するために通常の流通チャンネルを経由せず、あるいはこれを大幅に短縮して海外の通信販売会社、小売店、メーカーなどから直接輸入すること。(一部抜粋)」

と記載しています。

ここで重要なことは、その目的が「自らの用に供する」ことであって、「商業」ではないことです。

 

次に、個人輸入で「衣料品等」を輸入する場合の注意点について。

①ラベルについて、

ラベル表示について法律で規制していないため、取扱い絵表示ではなく、文言表示の国もあります。

サイズも地域によって基準が異なります。

②洗濯について、

上記の①に関係してくるのですが、取扱方法が外国語で書いてあるので、洗濯方法が分からない。

また、洗濯する水について、欧州は洗濯水が硬水、日本は軟水という違いがある(そのことがどのように影響してくるかはよく分かりませんが)。

洗濯機や乾燥機の性能やその普及率も違うため、日本の常識は通じない。

③その他

縮みなどについて、クレームを言いたくても比べる対象(同じ新品のもの)がないため、なかなか文句を言えない。

などなど、挙げたらきりがないほどたくさんの注意点が考えられます。

 

最近はインターネットなどを利用して「個人輸入」を気軽に行うことができるようになりました。

しかし、一定の「リスク(法律上のリスクも含む)」を負うことも承知して行わなければならないと思います。

リスクを承知して自分の趣味みたいなものとして「個人輸入」を楽しむことができれば、それはいいかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2月1日から「ASEAN包括的経済連携協定」 マレーシアとの間で発効されました

 ASEAN全体(10カ国)と日本との経済連携の強化を目的とした多国間経済連携協定(EPA)である「日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定」について、

平成21年2月1日(日)にマレーシアとの間に効力を発生しました。

  (現在の発効国:日本、シンガポール、ラオス、ベトナム、ミャンマー、ブルネイ、マレーシア)

 

 なお、日・ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定を利用した日本への輸入手続(原産地証明書の受け入れ等)については、各締約国ごとに国内法令等が異なるので、個別に確認してください。

 

税関ホームページ

http://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/fta-epa_index.htm

 

 

 

価格が20万円を超える国際郵便物の通関手続が見直されます。

平成21年2月16日(月)から、

価格が20万円を超える国際郵便物を差し出す際又は受け取る際に、原則として、税関への輸出申告又は輸入申告が必要になります。

 

価格が20万円以下の郵便物については、従来と同じ取扱いとなります。

 

外国から受け取る郵便物については、価格が20万円を超える郵便物であってもプレゼントなどの寄贈物品や、差出人から一方的に送られてきたことなどの理由により名あて人が価格等を把握していないものは、従来と同じ取扱いとなります。

 

外国から20万円を超える郵便物を送ってもらう際は、

①商取引を伴うものの場合は

 「品名」、「品種」、「数量」、「価格」、「運賃」、「保険料(保険を掛けた場合)」、原産国及び契約条件を証することができる書類(INVOICEなど)を用意してください。

②寄贈品等の商取引を伴わない場合は、

「品名」、「数量」、「価格」などを差出人に確認しておいてください。

 

 

詳細については下記の税関ホームページでご確認ください。

http://www.customs.go.jp/tsukan/yubin/yubin210216.htm

 

原産地の表示について(関税法第71条第1項に規定されている表示)

 先日、原産地を偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている貨物の輸入について、それを規制する規定として関税法第71条の条文を紹介しました。

この条文(第1項)について少し説明を加えておきます。

 

「関税法第71条」

 第1項 原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外 

     国貨物については、輸入を許可しない。

  

1. 第1項の語句についての説明

(1)「直接」とは

    → 「貨物自体」を指しています。

(2)「間接」とは

    → 「貨物そのもの以外、たとえば容器、包装等」を指しています。

(3)「偽った表示」とは

    → 「貨物に原産地以外の国等において生産されたことを示す表示をいいます。

    (たとえば、中国産の貨物に「MADE IN USA」、[PRODUCED IN ITALY」、

    「FABRICATED IN FRANCE」のように、貨物の原産地以外の国又は地域において生産・

    製造されたことを示す表示をいいます。)

(4)「誤認を生じさせる表示」とは

    → 虚偽の原産地が必ずしも明白に表示はされていませんが、一般的、客観的にみて、原産

   地の誤認を生じさせるような表示をいいます。

 

   具体的には以下のような場合が、原則として「誤認を生じさせる表示」となります。

原産地の表示について(原産地とは)

輸入貨物の原産地表示に関する規制について紹介しましたが、「原産地」とは何なのか、どのように決められているのか、ここで紹介します。

 

1.  原産地とは、一般的には貨物が実際に生産・製造された国又は地域を指しています。

    具体的には、

(1)貨物(物品)について、その全部を生産した国又は地域(完全生産品)

  以下のようなものを完全生産品といいます。

  ①一の国において生きている動物から得られた産品(例:肉、卵、牛乳、羊毛)

  ②一の国において収穫された植物性生産品(例:果物、野菜、木材、綿花)

  ③一の国において採掘された鉱物性生産品(例:原油、石炭、鉄鉱石)

 

(2)物品の生産が2カ国以上にわたる場合には、加工等により大きな変化(実質的変更)をもたらし、

  新しい性質を与える行為を最後に行った国又は地域

 ※実質的変更とは、

  たとえば他の国でつくられた輸入品を原料として製造又は加工により、最初の産品(輸入品であ

 る原料)とは違う性質を持っている産品をつくった場合、この大きな変化のことを実質的変更といい 

 ます。

 

  ここで、どの程度の変化があれば実質的な変更ということができるのかというと、具体的には、関

 税率表の分類番号の4桁(項)の変更が必要になります。

 

  単なる輸送、保存のための乾燥、冷凍、塩水漬けなどの簡単な作業は実質的な変更にはなりま

 せん。

 

 

 

 

原産地の表示について(輸入) 「規制」

 先日、「原産地の表示」について問い合わせがありました。

この「原産地の表示」については、実物を見て判断するものなので説明が難しいのですが、

「原産地の表示」のうち、「偽った表示」又は「誤認を生じさせる表示」がされた貨物に対する規制について、そのもとになる条約とその条約を受けてつくられた法律を紹介します。

 

1.「規制」について

(1) 「虚偽の又は誤認を生じさせる原産地表示の防止に関する1891年4月14日のマドリッド協定」

   この協定は、消費者及び生産国の保護、表示国の信用失墜の防止、国際市場の混乱回避を 

  目的としています。

   以下、(2)の関税法の規定はこの協定の趣旨を受けて規定されたものです。

(2) 「関税法第71条」

 第1項 原産地について直接若しくは間接に偽った表示又は誤認を生じさせる表示がされている外 

     国貨物については、輸入を許可しない。

 第2項 税関長は、前項の外国貨物については、その原産地について偽った表示又は誤認を生じ

     させる表示がある旨を輸入申告をした者に、直ちに通知し、期間を指定して、その者の選択

     により、その表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を積みもどさせなければならな

     い。

 

 以上、原産地を偽った表示等がされている貨物に対する「規制」を紹介しました。